ORIENTATION生成AIプログラミング入門編
本研修は、生成AIにプログラミングを任せる開発を初めて体験する方のための4時間です。前半の課題Aでは、テンプレートなしの状態から自然言語の指示だけで一覧・検索・詳細のある業務アプリを組み上げます。後半の課題Bでは、初見の Java・Spring Boot プロジェクトを読み解き、Issue を起票してバグを直します。動いた喜びと、勢いだけで作ることの危うさを同じ日に自分の手で確かめる構成です。
Spring Boot
到達点は明確です。Claude Code に意図を伝えて生成させ、生成物を鵜呑みにせず動作とコードで確かめる一連の動きが、自分の手でできる状態になることです。プログラミングの文法知識は前提にしません。指示の言葉と確認の目を、演習の中で身につけていただきます。
課題Aで、備品データを題材にした一覧・検索・詳細ドリルダウンのアプリを、テンプレートなしの状態から自然言語の指示だけで構築します。意図を具体的に伝えるほど出力が狙いに寄っていく感覚を掴みます。
完成したアプリの危険な点・曖昧な点を AI 自身に指摘させます。作っている最中の AI は何も警告しなかった、という事実がここで見えます。バイブコーディングの限界と、チーム開発にハーネス(規約や検証の仕組み)が要る理由を体験から理解します。
課題Bで、初見の Spring Boot プロジェクトに日本語コメントを挿入させて読み解き、不具合を Issue(ローカルの Markdown ファイル)に起票してから、1件ずつ範囲を絞って AI に修正させます。任せる範囲と人が判断する範囲の線引きを学びます。
「AI がすごい」で終わらせません。前半で AI 開発の威力を体験として掴み、後半で「勢いだけの構築はチーム開発で破綻する」ところまで自分の手で確かめていただきます。動くことと正しいことは別物である、という視点を持ち帰っていただくのが本研修の狙いです。
座学は最小限に抑え、演習2本に140分を充てます。前半(課題A)は「動かす喜び」、後半(課題B)は「読んで直す判断」に軸足を置いています。
| No | セッション | 時間 | 内容 |
|---|---|---|---|
| S01 | オリエンと支援の段階遷移 | [20min] | ゴール共有、VSCode と Claude Code の起動確認、補完から対話委任までの段階遷移 |
| S02 | 座学とデモ | [40min] | AIコーディングの現在地、VSCode 基本操作、Planモード / Agentモードの違いと使い分け |
| S03 | 課題A CRUD業務アプリ | [70min] | 環境確認 → 一覧・検索・詳細ドリルダウンをテンプレートなしで構築 → 完成後に AI へ危険性・Warning を指摘させる |
| S04 | 課題B バグ修正と発展 | [70min] | AI によるコメント挿入とソース理解 → Issue 起票練習 → Issue 駆動で不具合を2〜3件修正(20分) |
| — | まとめとAI設計デモ | [20min] | AI の強み弱み、コンテキストエンジニアリング、コンテキスト → ハーネス → ループ、1コマンドから Skills / Subagents が自動選択されるデモ |
| S05 | 振り返りと質疑 | [20min] | 今日できるようになったことの言語化、質疑応答 |
合計 [240min]。途中に短い休憩を挟みます。演習の進みが速い方には各課題に発展課題を用意しています。
AI によるコーディング支援は、行の続きを埋める補完から、タスクを丸ごと任せるエージェントへと段階的に進んできました。4つの段階に整理し、本研修で扱う位置を先に共有します。
人が書いている行の続きを AI が提案します。主導権は完全に人にあり、AI は入力の省力化を担います。
チャットで「この関数を書いて」と依頼し、返ってきたコードを人が貼り付けます。生成の単位が行から関数・ファイルへ広がります。
「一覧画面を作って」のようにタスクを渡すと、AI がファイルの作成・編集・実行までを一続きに進めます。Claude Code はこの段階の代表です。人の仕事は指示と確認に移ります。
規約・検証・自動チェックの仕組み(ハーネス)を整え、AI が安全に自走できる環境を人が設計します。まとめのデモで入り口を見せ、次回研修で本格的に扱う領域です。
今日体験する第3段階は、威力と危うさが同居する段階です。タスクを任せられる分、生成物を確かめる責任は人に残ります。課題Aで威力を、課題Aの締めと課題Bで危うさと確かめ方を、順に体験する設計になっています。
エディタは VSCode、AI は Claude Code を使います。モデルへの接続は Amazon Bedrock 経由で、使用モデルは Claude Sonnet 4.6 です。個人アカウントの契約は不要で、事前セットアップガイドの手順で接続済みの状態から始めます。
| 構成要素 | 役割 | 補足 |
|---|---|---|
| VSCode | 作業の起点となるエディタ。ファイルの確認・編集・ターミナル操作をここで行います | 拡張機能から Claude Code を呼び出します |
| Claude Code | 自然言語の指示でファイル作成・編集・コマンド実行までを進めるコーディングエージェント | Planモード(計画の提示と承認)と Agentモード(実行)を使い分けます |
| Amazon Bedrock | AWS 上で Claude のモデルを利用するためのサービス。本研修のモデル接続経路です | 接続設定は事前セットアップで完了済みです |
| Claude Sonnet 4.6 | 本研修で使用する Anthropic のモデル | 研修中のモデル切り替えは行いません |
| Java 17 / Spring Boot | 課題Bの題材プロジェクトの技術スタック | Maven Wrapper 同梱のため Maven のインストールは不要です |
S01 の起動確認で、全員の VSCode 上で Claude Code が起動し、依頼に応答する状態をそろえてから先へ進みます。起動しない場合はその場で挙手してください。演習が始まってからのトラブルは進行に響くため、冒頭で全部つぶします。
演習は各自のペースで個別に進めます。手が止まったら配布物の hints フォルダを開くか、挙手して講師を呼んでください。守っていただくルールは次のとおりです。
AI の出力は同じ指示でも毎回ばらつきます。思いどおりに出ないのは普通のことなので、指示に文脈を足して出し直すか、別の言い方に切り替えてください。うまくいかなかった指示ほど、振り返りで共有する価値があります。
演習は事前配布した ZIP(handson.zip)を展開し、VSCode で handson フォルダを開いて進めます。始める前に、次の構成がそろっているか確認してください。
| フォルダ / ファイル | 内容 | 使う場面 |
|---|---|---|
README.md | フォルダ全体の案内 | 最初に一読 |
CLAUDE.md | Claude Code が起動時に自動で読み込む共有文脈(業務ルール等) | 全セッション |
kadaiA/ | 課題Aの作業フォルダ。備品データ50件の CSV と、画面要件をまとめたお題シート | S03 |
kadaiB/ | 課題Bの備品管理システム(Java 17 / Spring Boot)。意図的な不具合入り。issues/ に Issue テンプレートと記入済みサンプル | S04 |
docs/ | コーディング規約・生成物チェックリスト・セキュリティチェックリスト | S03 危険性チェック、S04 修正の確認 |
hints/ | step01〜step05 の参考プロンプトと詰まったときの対処 | 演習全般 |
VSCode で handson フォルダが開けること、kadaiA/dummy_data.csv が見えること、Claude Code が応答することの3点を確認できれば準備完了です。それでは本編に進みます。